「福岡大学 新技術説明会」(2021年5月20日開催)にて発表。
https://shingi.jst.go.jp/list/fukuoka-u/2021_fukuoka-u.html
【新技術の概要】
癌の鍵分子である変異KRASを有する3次元癌モデルと野生型のKRASを有する正常モデルを樹立し、癌モデルにおいてのみ効果を示す低分子化合物STAR2-N1を取得。その標的は、ミトコンドリアに存在するVDACと小胞体に存在するKDELRであり、両者を標的とすることで、癌特異的に糖代謝関連の分子を抑制することで抗腫瘍効果を示すことが分かった。
【従来技術・競合技術との比較】
従来の抗癌剤は細胞の増殖を直接的に抑制するために、生体内においては毛根など細胞分裂の盛んな細胞にダメージを誘導し大きな副作用とつながっている。本発明では癌特異的な代謝経路(ワールブルグ効果)を標的とするために、毒性が低く、実際マウス投与においても高い抗腫瘍効果と低い毒性を示した。
【新技術の特徴】
・腫瘍選択性が高い
・HIF-1上昇が関連する、加齢、肥満、動脈硬化症、痴呆、骨粗鬆症にも効果を有する可能性。
・化合物なので、他の生物学的製剤に比べて安価である。
【想定される用途】
・既存の分子標的薬が効かない癌患者への投与
・薬剤抵抗性を示した患者
・癌切除後など予防的投与
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